引用元
序文 医師 Charles W. Lapp
あなたは聖杯の話を知っていますか?
飲んだ人が健康を回復する奇跡の力があるとされる聖杯の話を・・・
伝説では、アーサー王がこの奇跡の聖杯を求めて、これを探し出すために信頼できる騎士たちを送ったと伝えられています。
私は時折この聖杯について講義します。神話が、日々の医療活動で耳にすることに似ているからです。奇跡の万能薬を見付ける任務を負った騎士たちは患者によく似ています。
これは特に、線維筋痛症(FM)の人たちについて言えます。理解のない医師に自尊心を傷つけられ、FMを「精神障害」に追いやる医療制度によって拒絶され、そして多くの人たちが、助けてくれる医師、や治療家を探し、また治る薬や治療法を探しに「旅」を始めます。
騎士のように危険な旅をして、途中で闘いをして、いくつもの試練を乗り越えます。
しかし、大部分の人たちは疲れ切って、失意のうちに終わります。
ところが、ある種の万能薬を見付ける人たちがいます。この人たちは旅そのものが重要であることに気づき、目標に到達することは重要でないと気づきます。
この人たちは、すべての医師に診てもらって、すべての薬を試みて、そしてすべての代替案を探したとき、FM の最も効果的な治療は内面から生まれることに気づきました。
そして、これらの疾患にうまく対処できるようになります。薬はひどい症状を一時的に和らげてくれます。しかし内面から生まれるものたちは、新たな意義と自尊心をもたらしてくれるのです。
内面から生まれるもの、つまり適応とライフスタイルの変化がFMを最も良くコントロールしてくれるのです。
最初にブルース・キャンベルの本を見付けたとき、私は自分が聖杯に近かったことを知りました。何年もの間、私はFMの治療を目指して努力してきましたが、医学的に症状を治療して、患者の健康を最善に保つことができただけであったと気づきました。
患者は新しいライフスタイルに適応できると、時間をかけて自然に回復しました。この適応を概説したのがキャンベルの本でした。今では、私はほとんどすべての患者に、この本を読んで、キャンベルのアドバイスに従うよう勧めています。キャンベルは自分自身でこの疾患の暗い荒れ地を横断してきました。そして身をもって、この疾患の旅の仕方を教えてくれます。
FMから回復するための既知の予後因子は全くありませんが、長年の経験から、私は次の二つのことを言うことができます。
第一に、予後が思わしくない人たちは一般に、抑鬱と、支持のなさによって打ちのめされます。
第二に、予後が極めて良い人たちは皆、前向きな態度と、適応しようとする自発性を持っています。この人たちは自身の生活をコントロールして、そして疾患のプロセス(過程)から新たな意義と自尊心を身につけます。
1959年に Victor Frankl が著書 Man’s Search for Meaning (『夜と霧』)の中で書いたように、我々はどんな人生が与えられるかを決めることはできませんが、どのように人生を歩むべきかは決めることができます。
(ex、どっちを利き足にするか決めることは出来ないが、どっちの足で踏み出してもよい)
FMのほとんどの専門家は、改善に導く四つのステップがあると言います。それは以下の通りです。
症状管理
疾患を悪化させる、疼痛や睡眠障害といった症状を治療する。
ペーシング
休憩時間を確保して、日常活動に妥当な制限を設ける。
カウンセリング
憂鬱な気分、不安、情動ストレスに対処する。
そして、有効な対処技能を習得する。
活動
定期的に軽い有酸素運動をする。
この本は、レッスンごとに分けられた実用的な自助ガイドです。例えば、1週間に一つの章を読んで、それを吸収し、定期的に実行することができます。そして、この疾患に適応するプロセスを、一歩一歩、手取り足取り教えてくれます。
主治医は症状管理とカウンセリングを手伝うことができます。この本はその残りの部分を分かりやすく説明しFMの人たちに希望を与えます。
この疾患には確立された治療法がありません。しかし、この本を読めば、生活の質を高める多くの手段があることが分かります。
Charles W. Lapp, M.D.
Director, Hunter-Hopkins Center
Assistant Consulting Professor, Duke University Medical Center
May 1, 2010
Charlotte, North Carolina
まえがき
この本は慢性疲労症候群と線維筋痛症の自助コース(CFIDS and Fibromyalgia Self-Help course)のためのテキストです。この自助コースは、私が慢性疲労症候群と診断されたすぐあとに始まりました。私は、スタンフォード大学医学部で経験したことに触発されて、このクラスを創りました。
病気になる前、私は医学的な自助プログラムのコンサルタントとして働く機会を得て、この本で説明したような自助戦略を使って、多くの人たちが他の慢性疾患をかなりコントロールするのを見ました。
私は自助的アプローチが慢性疲労症候群(CFS)と線維筋痛症(FM)の人たちにもきっと役立つだろうと考えました。1998年の開始以来、世界中から数千人が我々の入門コースを取り、二つの追加クラスを受講しました。「その人のプランを作り、そのプランを生活で実践する」クラスです。
我々のプログラムができたとき、私は、この本の中に書いた戦略とテクニックを利用して健康を取り戻しました。
ペースは4年の期間にわたり、1カ月に1あるいは2パーセントとゆっくりでしたが、着実でした。正常の約25%の出発点から、最終的に、疾患前の健康水準に回復しました
私のストーリーは
http://www.recoveryfromcfs.org/
で読むことができます。
この本の中の取り組みは次の確信に基づいています。
CFSあるいはFMを抱える人たちは、気分を良くしてくれるものを見付けることができます。それらの戦略は、どちらの疾患も、治すことを目的にしていません。しかし、肉体的・精神的な苦痛を軽減し、生活の質を高め、しばしば機能性を高めるのを手伝ってくれます。
CFSあるいは線維筋痛症を管理するプランは、一人ひとり個別の事情に合わせて作成する必要があります。あなたのケースは別の人のケースより深刻であるか、あるいはそれほどでないかもしれません。
また、疾患を管理する個人の能力は、財政状況や家庭環境といった他の要因にも左右されます。
長期にわたる疾患は、生活の多くの部分に影響を及ぼすので、疾患を管理するとは、症状の治療以上の意味を含んでいます。ストレスのコントロール、感情への対処、支援の確立、喪失の状況に意味を見いだすことなどの難題にも取り組まなければなりません。
CFSあるいは線維筋痛症に効く魔法の薬はありません。ほとんどの専門家は、 Lapp 医師が序文の中で述べたように、「両疾患に対する最も強力な治療法はライフスタイルの変更である」という考えに賛同します。
つまり、習慣を変え、日常生活を変えるということです。これは、生活の一部を一つか二つ変えていく緩やかなプロセスですが、一変するまで長い期間を要します。
我々のプログラムで、私の改善率を覚えている人がいて、それを1%ソリューション(解決)と呼びます。
我々は、プログラムで多くの人たちが20%から50%、ときにはもっと改善するのを見てきました我々の経験から言うと、改善の秘訣は、自発的に適応しようとすることと、自主管理ツール(特にペーシングとストレス管理)を一貫して使い続けることです。
線維筋痛症を抱えた生活は、時に、人を圧倒することがあります。効果的な対応は、コントロールを取り戻すために一連の小さな措置を講じることです。この本の中で、「あなたの」1%ソリューションを創り出すためのアイデアを見付けることを願っています。
Bruce Campbell, Ph.D.
Executive Director, CFIDS and Fibromyalgia Self-Help Program May 1, 2010 Palo Alto, California