線維筋痛症ペーシング③症状

セルフケア

第3章 線維筋痛症の症状

線維筋痛症の顕著な症状である、疼痛、疲労、睡眠不足、認知的問題に対する主な治療法を説明します。

この章では一般的な症状管理法を概説します。

睡眠不足の影響は非常に広範囲にわたり、改善すると生活の質を高めて、他の症状を軽減することができるので、我々は睡眠から始めることにします。

しかしながら、四つの主要症状に焦点を当てる前に、FMの人たちはふつう、数個から多数の他の症状があると付け加えさせてください。

線維筋痛症でよく見られる他の症状として以下のものがあります。

  • 腹痛(腫脹、下痢/便秘)
  • アルコール不耐性
  • アレルギー・発疹
  • 不安
  • 悪寒あるいは寝汗
  • 憂鬱
  • めまい
  • 発熱
  • 頭痛
  • 顎の痛み
  • 性欲減退
  • リンパ節の圧痛
  • 吐き気
  • 手、腕、脚、足、あるいは顔のしびれ、あるいはひりひり感
  • 耳鳴り
  • 光、音、におい、あるいは天候に対する過敏反応
  • 咽頭痛
  • 体重の増減
治療原則

FMの症状管理は通常、以下の四つの原則に従います。

1.生活の質を高めることに重点を置く

線維筋痛症の治療目的は治癒ではなく、睡眠不足・疼痛などのような最も厄介な症状に対処することに重点を置きます。

ペーシング、運動、ストレス軽減のような自助戦略は、気分が良くなるのを助けます。自助戦略を用いれば、疼痛と不快を軽くし、いっそうの安定をもたらし、そして肉体的・精神的苦痛を減らすことができます。また、機能レベルも引き上げてくれるかもしれません。

FMの治療は、症状に対処することだけに限られません。この疾患は、生活の多くの部分に影響を及ぼします。

その人の仕事する能力、財政状況、人間関係、気分、将来の夢や希望などに影響を及ぼします。これらを管理することは単なる症状の治療以上の意味を含んでいます。

 

自主管理プランには、ストレスと感情に対処するプラン、支持を得て人間関係を作り直すプラン、喪失を受け入れるプランなどがあります。

2.多数の戦略を用いる

線維筋痛症の人たちは数個から多数の症状があります。各症状には複数の原因があり、治療計画は多数の戦略を必要とします。

例えば、疼痛を治療するには、

薬、睡眠の改善、ペーシング、運動、リラクゼーション法、温熱と寒冷の使用など、ライフスタイル戦略も用います。

認知的問題(ブレインフォグ)はたいてい、

  • リストを使用する
  • ペーシングを使う
  • 一度に一つのことをする
  • 家の中を整頓しておく
  • 頭がよく働くときに精神的作業をする
  • ストレスを管理する
  • 心の中のつぶやきで安心するなど

さまざまな戦略で対処します。

3.試行する

症状を管理するためには、いろいろと試行錯誤を重ねる必要があります。これはライフスタイルを調整していくのにも役立ちます。例えば、症状を悪化させることなく効果がある運動プログラムを見付けるには、さまざまな運動プログラムを試さねばならないかもしれません。

(ウォーキング、スイミング、ヨガ、ストレッチ、太極拳などなど)

我々は、効果がある戦略を見付けるためにいろいろなやり方を試すこのプ

過程を、「FM科学者」になると呼んでいます。

4.ライフスタイルの変化に重点を置く

あなたの行動と生活の仕方が症状に大きな影響を与えます。自分の体の声に耳を傾ければ症状が和ぎ、無視をすれば症状が悪化します。

行動と生活の仕方は症状に対する影響力がとても大きいので、症状を和らげることと生活をコントロールすることに成功するかどうかは、おそらく、医師があなたに施す何よりも、FMに適応しようとするあなたの努力と自発性によって決まるでしょう。

FMの主要症状には幾つかの共通の原因があります。過度の努力、運動不足、ストレス、そして感情です。これらの原因をそれぞれ、ペーシング、運動、リラクセーション法、感情コントロールで管理すれば、複数の症状を緩和する効果があります。